最初の任務1

「任務発生!任務発生!」
ヒーローケータイが鳴る。今日は僕の初出動の日だ。緊張で夕べからほとんど眠れていない。鼓動が高まる。
ケータイを操作して、任務メールを読む。
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ヒーロー☆コネクションにようこそ!歓迎するよ、嘉人君!
さて、キミの最初の任務だ。
東京でジャアック戦闘員たちが悪事をはたらいているらしい。早速パトロールに向かってくれ!
活動資金として、10000円を送る!
HCJ茶柱達太郎

興奮のためか、任務の内容が頭に入ってこない。何度も読み返した。
…待てよ。東京をパトロールって…どこを? 東京って、東京駅のこと…か? パトロールを…する…? 戦闘員たちがはたらいている悪事とやらを止めれば…いいのか…? 活動資金は10000円…ビミョウな金額だけど…うーむむむ。
ツッコミどころ満載の任務メールだった。結局僕は、どこへ行けばいいのか…
悩んでいても仕方がない。とりあえず外に出よう。
まずは、
「へ〜んしんっ!!」
と言いながら、自分でヒーロースーツに着替える。ヒーローケータイをかざすと、いつの間にか勝手にスーツを着ている、なんていうことは有り得ないのだ、残念なことに。気分は大事なので、掛け声(?)は一応掛ける。
スーツは父と同じ、[マスクマンタイプ]と呼ばれているものを選んだ。
「……」
これで外を歩くのは、やはり…恥ずかしい…よな…そういえば、父さんのヒーロースーツ姿を見たことがない。ということは、少なくても家からは着て出ていないということだ。じゃあ、ヒーロースーツを持って出て、戦闘員を見つけたら近くで着替えればいいのか…かさばるな、このヘルメット…そしてこの武器…持ち歩いていたら、銃刀法違反でタイーホされるんじゃないだろうか…
という、ややこしい状態に耐えられなくなったので、やはりここはヒーローモノ王道で、ヒーローケータイをかざすと、いつの間にか勝手にスーツを着ている方式にすることとする。そのメカニズムには、敢えて目を向けない。
さて、普段の服装で出掛けるとして、問題はパトロール場所だ。東京駅…ではないような気がする。とりあえず大きな繁華街にでも行ってみよう。

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