暗黒風水の氾濫2

その年の恵方を向いて、無言のまま切っていない太巻きを食べると、一年間、無病息災で過ごせるという風習が西の方にある。最近ではコンビニなどの戦略に使われて全国展開してしまい、情緒性には欠けるなぁというのは僕の個人的な感想。連中はそれにもチャレンジした。
岡山の女の子から、お兄ちゃんが行方不明になったので捜して欲しいという依頼があり、岡山城近くへと出向いた。岡山城では太巻きのギネスに挑戦するというイベントがあり、大勢の人が集まっているらしかったが、僕は怪しい警備員に追い返されてしまった。
さらに調査をしていると、様子がおかしいジャアックの戦闘員を見つけた。何か悩んでいる風だったので聞いてみると、上司である電撃怪人クラゲノムに不満を持っているようだった。暗黒風水で占った結果、人間を太巻きにして今年の邪悪恵方を向いて食べるといいことがあると出たため、太巻きにする人間を、戦闘員に拉致させているというのだ。あまりの下らなさに、さすがの戦闘員達もうんざりしていた。
その戦闘員に協力してもらい、岡山城でギネスに挑戦イベントと偽っていた、実はというかやっぱり変装したジャアックの戦闘員である警備員達にも、クラゲノムを見放して帰ってもらった。敵ながら上司に恵まれず、気の毒だ。
うめき声のする方に駆けつけると、何人もの人間を包んだ巨大太巻きを前に、満足そうな電撃怪人を見つけた。どうやらジャアック四天王に昇格することがクラゲの夢らしい。やめろ!と叫んだ僕に向かって、もう遅い、あとは食べるだけと言うが…太すぎて食べられなかった。部下にも見切りを付けられたクラゲノムは、モチロン僕にもあっさりと負け、すごすごと引き上げていった。
太巻きからは行方不明になっていた女の子のお兄ちゃんを始め、拉致された人々が続々と出てきた。これにて任務完了。
この任務中、耳が遠く、少しボケたおばあちゃんに会った。口が悪く、考えられないほど下品で、井上和香を知っていた…一体何者だったのだろう…

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