暗黒風水の氾濫3

「ホーホホホホ!」
と、耳障りな高笑いと共に登場するのは、冷凍怪人シャロンだ。どうも、自分をジャアック1の美人だと思っているらしく、女王様的発言が多くてゲンナリする。まぁ、ジャアック1なら高が知れているので、かわいらしい思い込みとも言えるが。「ライバルは由美かおるよ!」と豪語していたが、大変申し訳ないことに、僕には[由美かおる]が分からなかった。女忍者として有名らしい。なんのこっちゃ。
冷凍怪人だけあって当然冬場に強かった。戦闘力も割と高く、その外見でバカにしてかかると、痛い目を見ることになった。
2月の札幌と言えばモチロン雪祭りだ。ジャアックの首領、ワルガッソーが占う暗黒風水は、暗黒雪祭りの開催を命じたのだった。シャロンによって氷漬けにされた人々は、暗黒雪祭りのオブジェとして陳列するために戦闘員に連れ去られようとしていた。
僕との戦闘で肌への影響を気にしたシャロンが立ち去ると、氷の像と化していた人々は元の姿に戻る事ができ、任務は完了した。

サル、イヌ、キジ役のジャアック戦闘員が岡山で暴れ、その隙に[ワル太郎]だの[暗黒桃太郎]だのと名乗る悪武者怪人マカサドが、お忍びで来日していた他国の王子を大阪の関西国際空港で誘拐する、という作戦もあった。どこかで聞いたような…さすがは誘拐、強奪が専門のマカサド、ワンパターンな作戦だった。
岡山にいたお供の戦闘員に、試しにキビダンゴを与えてみると、大喜びで暴れるのをやめ、仲間の情報をあっさりと提供してくれた。ワンワン、ケンケンと叫ぶその姿は、それぞれの動物になりきっているようにも見え、結局彼らは何だったのか、今でもよく分からない。

どうも全体的に暗黒風水絡みは、ジャアック内部でも賛否両論あるようだ。特に下っ端の戦闘員には不評らしいが、首領であるワルガッソーが信仰しているんだからどうしようもない。何にでもこじつけてしまう暗黒風水は、僕としてももう勘弁してもらいたいと思う。

…2月。ヒーローとしてこの1ヶ月、とにかく任務を遂行するのに夢中だった。生命の危機さえ有り得る環境で、僕自身が強くなるために必死だった。父の事は忘れる日が多かった。いや、敢えて目を背けていたのかもしれない。ヒーローとして亡くなった父を思う事は、新人ヒーローの僕にとって、恐怖以外の何ものでもなかった。
照井半九朗というヒーロー☆コネクションの連絡員との出会いが、僕に父を思い出させた。

END

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