ドキドキバレンタインデー2

「いらっしゃい!」
「えーっと、みそラーメンと餃子セットで」
「はい、みそと餃子ね」
「あ、バターとコーンをトッピングして下さい」
「はい、毎度!」
ランチタイムのピークは過ぎたのか、思ったより店内は空いていた。
あっという間に出されたラーメンと餃子を平らげた僕は、オヤジさんに聞いてみることにした。
「最近この辺で怪しいヤツを見かけませんでしたか?」
「怪しいヤツぅ? この辺はヤクザさんは多いが…」
「いえ、そうじゃなくて、全身黒ずくめで、『イーイー』騒がしいヤツらのことなんですが」
「黒ずくめねぇ」
「特撮ヒーローものに出てくる敵キャラのような…」
「さぁて、わかんねぇなぁ。テレビのことならテレビの連中に聞いてみたらどうだ? 北海道どさんこテレビのヤツが、さっき食べに来てたよ。大通り公園で何だかの準備をしてるっちゅう話だったがな」
「あぁ、さっき見かけました」
「りらとかっていう女子アナ知ってるか? あんなべっぴんさんがウチに食べに来てくれたらなぁ」
話が変な方向に行ってしまった。僕はお礼をいい、お金を払ってラーメン屋を出た。
さっきの様子じゃ、どさんこテレビの人たちに話を聞くのは難しいだろうなぁ…などと思いながら歩いていると、
ドンッ!
誰かと肩がぶつかってしまった。
「あ、ごめんなさ…」
「ちょっと! アタシのま〜君に何すんのよ、アンタ! 気を付けなさいよ!!」
「すいませ…」
「ま〜君、大丈夫?! どこかケガしてない? 血出てない?」
「痛てて…ミカリン、痛いよー」
「やだぁ、ま〜君、しっかりしてぇ! 歩ける? そこのホテルで休憩していく? んふ」
「うん、ミカリン、そうしてもらえると、ボク、助かるな」
「あら大変、ま〜君ったら明日まで待てないのね…あ、違った、そんなに重傷なのぉ?」
「早く行こうよ、ミカリン」
「待ってぇ、ま〜君肇
…春はまだ先のはずだったが…やっぱり明日を前に、カップルは盛り上がってるのだろうか? っていうか明日だよ、バレンタインデーは。まぁいいけど。

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