ドキドキバレンタインデー4

一体今日、僕はこの辺りを何往復しているだろう? そんな事を思いながらひた走る。途中、ぐずぐずの雪に足を取られそうになりつつ。テレビ塔展望台には果たして…十勝りらがいた。
「あら、嘉人さん、そんなに急いでどうし…!!」
「カップル発見! 邪魔するイー!」
ありがたい事に、戦闘員の方からアクセスしてきてくれた。
「この世の正義を守るため、悪と戦う仮面の戦士、嘉人参上!」
「イっ?! どうして嘉人がココにいるイー! こうなったら(以下略)」
(中略)
「りらさん、大丈夫ですか?」
「は、はい…あれがジャアックの戦闘員なんですね…嘉人さん、今大通り公園で準備中のイベントは、明日のバレンタインデーに合わせた、カップルコンテストなんです」
「カップルが襲われている最中にどうして?!」
「イベントの企画は、半年以上前から決まっていました。それに、ジャアックという組織が、こんなに本気だとは思ってなかったんです。甘く見ていました…」
「イベントは明日ですね」
「ええ…嘉人さん、来ていただけますか?」
「はい。でも、くれぐれも気を付けて下さいね」

翌2月14日は、寒いながらも快晴だった。
「嘉人さん! 来ていただいてありがとうございます! これでジャアックが襲ってきても大丈夫ですね」
「任せて下さい!」
「それと、もし戦闘になった場合も、嘉人さんの勇姿はバッチリ撮らせていただきます! できればイベントが終わった後に…」
「キャァーーっ!!」
むっ、女性の悲鳴だ!
「メイン会場の方からだわ!」
十勝りらの案内で駆けつけると、カップルコンテストのメイン会場である舞台の上で、冷凍怪人シャロンが熱くなっていた。
「ほらそこ! イチャイチャしてないで離れる!! まったくアンタ達のせいで気温が上がると、私のお肌が荒れるのよっ!!」
リハーサルのために早くから集められていたコンテストの出場者達を前に、キリキリと怒鳴り散らしている。シャロンが騒げば騒ぐほどカップルは怯えて互いの手を取り、ひしと抱き合うので、悪循環な事この上ない。
「ちょっと! アンタ達、ボサっとしてないで早く別れさせなさい!」
「イー…」
作戦の余りの崇高っぷりに、戦闘員も呆れている。[一日一悪]が実行できれば、中身はなんでもいいのだろうか…あ、いやいや、そんな事はどうでもいい。

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