コスモタワージャック ルクレツィアの策略3

シャチホコマン?!」
「おぉ、嘉人か。どえりゃ〜事になったにゃ〜。ほら、早く行くにゃ〜!」
さらに上がる。途中、シャチホコマンは戦闘員を僕に押し付けて自分だけ先に行った。
何人かの戦闘員を倒し、襲われていた女子高生や逃げ遅れた人々を助けた。
なかなか最上階に近付けない。上り下りの繰返しは、精神的にも疲れる。戦闘員の数も多くなってきた。
「…けて…助けて…」
また暗闇から声が聞こえた。若い女性だった。
「怪我はありませんか? さぁ、すぐに下りましょう」
「待って、あっちに友達がいるの」
「え? どこに?」
ドシンッ!!
彼女が指差す方を振り向いた時、背中に衝撃を受けた。そのまま階段を転げ落ちる。
「くっ!!」
突然の事に構えが執れず、全身をしたたかに打った。息ができない。
「フッ、まだまだ甘いな、嘉人。他人をそう簡単に信用するものではない」
顔を上げると、さっきの女性が僕を見下ろし、冷笑している。
「ど、どういう…つもり…だ…」
女の姿が変わる。それは、ルクレツィアだった。
「遅い。わたくしを待たせるなんて10年早いわ! 早く来なさい」
そう言い残し、ルクレツィアは闇に消えた。
「くっ…くそっ!」
持っていたヒーロードリンクを飲み干し、やっとのことで起き上がる。ゆっくりと段を上がる。徐々にスピードを上げる。もうすぐ最上階、という辺りで、またしても倒れている人影を見つけた。
シャチホコマンだった。
「き、気を付けろにゃ、嘉人…ルクレツィアは…本気にゃ〜…」
シャチホコマンは気を失った。むぅ。ここまで来てまた1階まで下りるのは…しかも相手はさっき僕に戦闘員を押し付けたて行ったシャチホコマンだ…むむむ。
30秒ほど悩んだ末、再往復を決意した。
一体どれだけの時間がかかったのだろう。やっとの思いで最上階まで辿り着く。その瞬間、突然辺りが明るく照らされた。
「うわっ!」
目潰しを食らった状態になり、視界は一時的に真っ白になる。
「遅い! 偽善者ぶってる暇などお前にはない!」
もちろんルクレツィアだ。目が慣れてくる。
「偽善者? 何を言ってる? 正義の対極にいるお前達が、そんな言葉を使うなんて、お笑いだな」
相手が四天王だろうが何だろうが、今の僕には関係なかった。怒りが沸点に達する。
「正義漢ヅラしたお前はこの世で一番醜いぞ、嘉人!」

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