シャチホコ、シ-サーすり替え事件3

「おーい、それは何だい?」
屋根瓦教授が聞くと、台車を押していた人が姿を現した。何と、ジャアックの戦闘員達だった!
「イっ!? お前らそこで何をしているイー!? そこをどけイー!」
「どくのはお前達の方だ! とぉっ!!」
言うなりジャンプして、僕は台車の荷物にかかっていた布を払った。そこには、金のシャチホコがあった。
「…やっぱり」
「こらっ! 何をしておるっ! キリキリ運ばんかい!」
後ろからそう怒鳴るのは、電撃怪人クラゲノムだった。
「お前は嘉人! しかもそれはシーサーじゃないか! ワシの指揮する『暗黒風水、魔の名古屋・沖縄破滅計画』は邪魔させないぞ! 行けっ、戦闘員達よ!」
来た。
教授と作業員に避難してもらい、戦闘を開始する。味噌かつを食べておいて良かった。
5人目の戦闘員が倒れる。残りはクラゲのみ。
「ぐぬぬっ! ここは一旦退くぞ! このまま何事もないと思うなよ!」
シャチホコを諦め、フラフラの戦闘員達と共に逃げ去るジャアックの怪人。肩で息をしていると、屋根瓦教授達が戻って来た。
「大丈夫かね、嘉人君?」
「はい、何とか」
「よし、とにかくシーサーを戻そう。シャチホコを持ってまた名古屋に向かわなければ!」
作業員達と協力してシーサーを本来の位置に据える。
「では、セスナで戻ろう…と、その前に、沖縄そばでも食べて行くかね?」
「はい!」
トロトロのソーキがのった沖縄そばを平らげ、僕達はセスナの待つ那覇空港へ急いだ。
シャチホコを積み込み、離陸を待つ。澄んだ空に向かってセスナは飛び立ち、順調に飛行した。
「これは…ちょっと方向が違うんじゃないか?」
窓から地上を見下ろしていた教授が慌てたように言う。僕も窓を覗いてみた。どうやら九州上空のようだったが、名古屋へ行くには進路が北に寄り過ぎている。
僕は操縦席に向かった。
「機長さん、すみません。方向が違うようなんですが、大丈夫ですか?」
「……」
返事がない。聞こえないのかと思い、僕は機長の肩を叩いた。すると帽子が落ち、その下には黒いマスクがあった。
「イーッイッイッ! 引っかかったな、嘉人! このまま沖縄に引き返して作戦をやり直しだイー! その前にお前達には海に飛び降りてもらうイー!」
「何を! そうはさせない!」
暴れる戦闘員を殴りつけ、操縦桿を奪おうとするが、機体は上下左右に揺れた。
「あわわわ、このままじゃ墜落するイー! 逃げるイー!」
そう言って機長を装った戦闘員は、強引に非常口を開け、飛び降りた。パラシュートを付けているなんて、ジャアックらしくない用意周到さだった。

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